結婚したら二宮に住もう!

vol.12「恩返し」

vol.12「恩返し」

 お久しぶりですっ。蔵門です。
 どれだけ長い間サボっても、サイト管理者のTさんは「どろんこ」の“ど”の字も出さず、そっと放置しておいてくださいます。だから(というのも、変ですが・・)気のすむまで、どっぷりとサボりにサボった数ヶ月。セミの大合唱の音に「あらあら、たいへん、もう8月じゃな~い?」と、待ち合わせに5分遅刻しちゃって、ちょっと小走りのフリをするくらいのさりげなさで戻ってまいりました。
                     ★
 そう、それは熱帯夜続く8月の寝苦しい夜。ようやくウトウトした私は、トントンと玄関のドアをたたく音で目が覚めました。「こんな夜中に、どなた~?」訪問者を確認するインターホンのない、いまどき珍しい我が家のドアを開けてびっくり。なんとそこには、人間大の巨大カブトムシが立っているではありませんか。あの堅いカブトのマスクの下に微笑をたたえているとはなかなか想像しにくいですが、手に持った菓子折りをそっと私に差し出して、丁寧にカブトをさげて、お辞儀をしているようです。
                     ☆
 畑の隅に堆肥を積んだ山があってね。それを使おうと初冬のある日スコップをブスっとさして山を崩したら、見たことの無いくらいの大きい幼虫がコロンと出てまいりました。更に崩すとコロンコロン、もひとつ崩すとコロンコロンコロン。明らかにカナブンではない大きさの幼虫が30程、目の前にほじくり出されてしまいました。
 おそらくこれが世に言うカブトムシの幼虫。このまま放置しておけばイノシシがもうダッシュで食べに来ること間違いなし。イノシシに食べられるくらいならと、畑に使うはずだった堆肥と共に自宅に連れ帰ることにしました。         
                     ☆☆
 決して、短くないこれまでの人生でカブトムシを飼ったことはありません。私も一応、女子の端くれ、カブト・クワガタよりもはるかに、モフモフしたものが好きっ。(あ、カエル・カッパ系は別枠で大好きです。)百歩譲っても、かわいいとは言いがたいその小さき生き物たちを、わずかばかりの好奇心と、袖振り合うも多生の縁的使命感で、半年以上お世話して参りました。
 温度・湿度管理、脱皮後はエサやり、ケンカ仲裁、仲人・・。それはそれは、試練の連続。そして待ちに待った7月末。ほぼ全員の脱皮を見届けて、子どものイベントに15匹寄付、残りは山へ帰してやりました。
                     ★★
 菓子を手渡して用の済んだ巨大カブトムシは、3歩退いてからくるりと背を向け、山の方向へ飛び去って行きました。ずっしり重い菓子折りの中身は、高級昆虫ゼリー詰め合わせ。「来年も、よろしくね」たどたどしい文字が添えられておりました。来年は、たくさん買ってしまった昆虫ケースの住人は、絶対にスズムシ!と決めていた私は、一瞬、心がチクリとしましたが「この昆虫ゼリー、スズムシにも使えるかなあ~」すっかり巨大カブトムシの恩返しの事は忘れて、来年のスズムシ飼育計画に胸躍らせて床に戻るのでした。
(2019-8-14)

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