vol.7「どろんこLifeの始まり」
vol.7「どろんこLifeの始まり」
北信州の人里離れた温泉宿。窓の外の紅葉を、チラチラと横目で見ながら、手元に視線を戻してはため息をつく浴衣の女。「いかん。全く、書け~ん!」
だいたいタイトルが「どろんこLife」。酷暑にのた打ち回り、夏風邪をこじらせ、夏山登山を断念したこの私が、どろんこで野山を駆け回るLifeが書けるかぁ~。(すみません。誰も書けと言ってるわけでは、ないんだけどね。)とどめに「夏はダメだったけど、じゃあ今年は、秋山は大物狙うからね~!」といきまいた舌の根も乾かぬうちに、「あれ、何、そこ、温泉宿?」という状況です。
20代から、登山と渓流釣りで横浜と長野を往復する日々。それならばいっそ移住してしまえば交通費も浮くに違いない。「長野で田舎暮らしするぞ~!」の予定でした。が、しかし、これでもそこそこの都会育ち。まずは予備体験として「“ぷち田舎暮らし”から始めよう!」と、湘南の西の果てに移り住んだのが、どろんこLifeの始まりでした。あれから20年。まさか、町の今後のことを、道端で立ち話をするまでどっぷりと、にのみや町民になろうとは想像もしませんでした。
今でも年に何度かは大好きな長野に足を運びます。ただ、気候も人間もぬくぬくとした、今の生活から足を洗うには、ちょっと勇気いるなあと感じる今日コノゴロ。風や光や空気が、もうすでに体と一体化しているようなんですね。
温泉宿で、ないネタをしぼってから、実はすでに数週間経っています。もうすでに、気力体力は回復し、夏に空けた穴埋めに疾走する毎日。畑では山のようなサルナシ(別名コクワ。キウイフルーツの原種)の実を収穫して、近所に配る、その実で果実酒を大量に仕込む、これまた山のようなサツマイモを収穫して貯蔵場所確保に四苦八苦する、タマネギのための土作りが「うきゃあ~、間に合わないっ。」と叫びながら駈けずりまわる。いつだって気がつくとブレーキが壊れた機関車のように走りすぎてしまいます。だから、ブレーキの修理に、「ときどき長野に向かう」。そのバランスがちょうどいいみたいです。
今回は「どろんこLifeの始まり」のお話でお茶を濁させていただきました~。ふう~。
(2018-11-1)