vol.18「蚊取り線香」
vol.18「蚊取り線香」
「♪隠しきれない移り香が、いつしかあなたに染み付いたあ~(『天城越え』より」
そうワタクシ時々、蚊取り線香くさい女と煙たがられます。
困ったことに、年々夏が長くなり、一年のうちの半分以上は腰に蚊取り線香をぶら下げて過ごしています。
わかりますかしら。携行タイプのソレ。もう何十年も変わらぬ丸い形の着火式煙発生器です。「今時、虫よけスプレーや電子式でよくね?」とおっしゃる貴方!ダメなんです。一日中、蚊の猛攻に立ち向かう者にとって、それしきの物では、わが身を守り切れません。たとえその姿を見慣れぬ若者の失笑を買ったとしても、その丸いカンカンを手放すことはないでしょう。この世に蚊がいる限り!
あ、ちなみにですが、線香なら何でも、というわけではありません。私は物心ついた時から(嘘です。)K社一筋。若干お手頃価格のA社の香りはどうにもいけません。一度だけ血迷って花の香りの物を買ってしまった時には、我慢に我慢を重ね、使い切るまでに数年を要しました。
あ、ここまで来て重大なことに気が付きました。
「ちがうちがう、今回のテーマは蚊取り線香のつもりじゃなかったんだ!」
ソレに着火するのにいつも持ち歩いているライターのこと、書こうと思ってました。「だのに、何故?」困ったものです。導入部ですっかり燃え尽きてしまいました。
ということで、珍しく「次回のネタはライターです」という予告を残し、今回はどろんこLife必携シリーズ第一弾、蚊取り線香の巻(!)で手を打つことにいたしましょう。タイトルを直し、ファイル名を変更いたしました。
蛇足ですが、ワタクシごとを少々。まれに人に文章を頼まれることがあります。その時の注文で「短文でかまいません」というお言葉。それ、困ります。生産性のない無駄なことをダラダラと書くことに使命を感じている私に、「短文を書けとお~!?(ムキ~!)」となったりします。お気をつけください。
さて、永遠に続くかに見えた、蚊の季節もようやく終わりを迎えそうです。
釣りの世界で『納竿』という言葉がありますが、冬の間、使い残しが湿気らないように私もそろそろ線香の納缶といたしましょう。高い樹上から落としたり誤って踏みつけたりとひどい仕打ちもしましたが、愛用品であることに嘘偽りございません。今年も本当にお世話になりました。
(2020-10-10)
(Photo by m.o)