結婚したら二宮に住もう!

にのみや どろんこLife

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蔵門の「にのみや どろんこLife2」

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「農ある暮らし」をライフワークにされている蔵門さんに、2016年4月からコラムをお願いしています。
毎回興味深いテーマで、バックナンバーもすべてお読みいただけるように編集しています。



vol.25「夏はカブトムシ」

 とことん寝苦しい7月の夜。ようやくウトウトした私は、トントンと玄関のドアをたたく小さな音で目が覚めました。時計の針は午前2時。まぎれもなく、丑三つ時の訪問者です。さすがにドアを開ける勇気も、「こんな夜中に、どなた~?」と明るく応答することもできずに息を殺していると、トントントコトンもう一度ノックの音が聞こえます。仕方がないので、玄関の方が見える窓をそーっと開けて気づかれないように覗いてみることにしました。
 な、なんとそこには巨大カブトムシ。
「そういえば、数年前(バックナンバーvol.12参照)もこんなことがあったっけ~。」などと、明るくなごむには、その場に流れる空気があまりにも違うことに気が付きました。
 黒い鎧は艶を失い、両前足は前にだらんと突き出して精一杯「うらめしや」のポーズを作っています。とどめは、頭の額に巻いた白い三角の布(『天冠』と言うそうですが)。一瞬にして背筋までクールになって、お陰で汗もすっかり引きました。
 そーっと窓を閉めて、胸に手をやると、思い起こされることはただ一つ。数日前、白昼の畑で起きた出来事でした。
                     ☆
畑でね、
刈払機で草刈りをしててね、
ちょん切ってしまったのですよ。
羽化して地面に出てきたカブトムシのツノを。

 最近、草を地際で刈らないで少し残すことが多かったのだけど、たまたまそこはマルガリータ(丸刈り)仕様だったのね。刈払機の竿を払って次の動作に入ろうとした瞬間、何か地面が動いた気がして固まりました。はじめは何が起こったのかわからず、ゴルフスイングのような格好で固まったまま数十秒眺めていると、黒いつややかな物体がモゾモゾと這い出すのが目に入りました。ずんぐりとした立派な体格のカブトムシ。しかし、その頭にツノがありません。ツノがあった形跡だけがそこにはありました。
 青ざめました。懺悔の気持ちに押しつぶされそうになりました。「なぜ、ドンピシャで鉢合わせるかなあ~、まったく!」逆切れしたくもなりました。
 仕方なく。刈払機を車に戻してこようとその場を離れてから、ふと振り返るとその一部始終を電線から見ていたカラスが(羽化したてだからか、もしくはツノを無くしたせいなのか)まだ飛べないカブトムシを突いているではありませんか。
 とりあえず、カラスを追い払い、カブトムシを草陰に退避させて、あとは運を天に任せて、逃げるようにおうちに帰ったのでした。
                     ☆
「人を殴るのは、殴られた方も痛いけど、殴った方の拳も痛いって、昔からよく言うじゃないですか。」
「ツノを刈られた方も辛いけど、刈っちゃった方も相当辛いんだよ~。」
白い三角の布のカブトムシさんに、そのようにお話しして、ご納得いただく頃には、すっかり夜は白んでおりました。
皆様も農作業中の事故にはくれぐれもご注意くださいね。
(2022-7-29)

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以前お世話したカブトムシ


vol.24「ハカラメのススメ」

 このタイトルが浮かんだのは、去年の暮れあたりでしょうか?「うん、うん、これ良いわ~。さくさくっと書いちゃお~。」そう口走ってから早半年。
 1~2時間集中して思いの丈を吐き出してしまえば楽になるのに。これが、どうしてもできない。
 予約なしに飛び込んだ歯科医院の受付で「お待ちになりますが、宜しいでしょうか?」と言われた経験、おありでしょうか?後からきた予約患者さんが次から次へと呼ばれて治療を済ませて帰っていく姿を横目に見ながら、ひたすら自分の順番を待つ状況。頭ではわかっているのだけれど、心がイジケテいく。そんな状態を自分の中にあるハカラメネタに強いて参りました。
 ハカラメに取り掛かる。別の急用がやってきてそれを片付ける。ハカラメに向かう。また別の・・。これを繰り返しているうちに、ツルに巻き付かれて死にそうになっている木々のように胸が苦しくなってきました。この地獄から解放されたい一心で、今日はもう腹をくくります。

 ハカラメという植物をご存じでしょうか?葉っぱから芽を出して子孫を増やしていくからハカラメ。別名マザーリーフ、セイロンベンケイソウと言うそうです。強靭で繁殖力が強い植物なので、気軽にオススメして良いものかは迷うところですが、自生しない(できない)地域の方々限定でオススメいたします。
 今回は、正しくいうと「ハカラメの花のススメ」ですね。何を隠そう、花が面白い!
蕾らしきものから、花が咲いて、種らしきものができるまで、まったく予想もしない変化を繰り返していくんですね。情報びたしの我々は、沢山の知識と引き換えに、発見や驚きを失くしてしまっているから、日々刻々と想定外の変態を続けるこの植物に、沢山の刺激をもらいました。鈴なりに首を垂れる花を見ながら、こちらこそ頭の下がる思いです。咲き始めてから6か月以上経つ今現在も、半分ドライフラワー化しながら楽しませ続けてくれています。
 仕事柄植物と関わることの多い私が「おお~、こうくるかぁ~!」と驚嘆する花。本当は花の写真を添えるのも、ネタバレ映画のようで気が重いのですが、ちらっとだけお見せしておきますね。花を咲かせるためには鉢で育てて、冬季は室内管理となります。これ以上はあまり下調べなどせず、期待も捨てて、失敗を楽しみながら、発見や驚きを楽しんでいただけたら本望です。

 ほぼほぼ書きなぐり終えて、一息つくと、あら不思議、頭が軽くなり心がすっきりしてまいりました。
 今回のどろんこライフは「頭の中に浮かんだことは、きちんと生み育ててあげることが大事!」というお話でした。「ハカラメの花のススメ」はオマケとして書かせていただきましたー。
 (2022-6-9)

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ハカラメの花


vol.23「ニンジン」

 小さな箱にちょこんと座って、タンタンタンと坂道を昇っていきます。昇るにつれ、単調なそのリズムが体じゅうに伝わってきて、胸の高鳴りなのか、機械の音なのか、どちらがどっちだか分からなくなった頃、一瞬だけ箱が止まります。
 長かった冬が終わり春への一歩を踏み出す瞬間。
3月になると、木の芽が吹き出し、競うように花が咲き、野山はあたかも千手観音のようにあちこちから私を手招きします。畑の土は「そら蒔け、ほら蒔け、種を蒔け」と歌いだす始末。
 ここから先はジェットコースターで下るように、忙しい毎日が過ぎていきます。と、毎年言っていたのですが、今ふと気が付きました。レールのあるジェットコースターではなくて、諏訪大社祭礼の御柱にまたがって坂を落とされていく方が、グンと近いイメージかもしれません。操縦のすべなし、で一年が怒涛のように過ぎていくのです。

 冬の間に書こうと思って、途中で挫折したネタや、書きたい想いがあふれて手に余るネタ。いつか機が熟すのを待つとして、とりあえず、旬のあるこのネタを書いておこうと思います。

この冬、「いや~、うちのニンジン、めっちゃうまっ!めっちゃあまっ!」の年でした。ニンジンスティック(生)で食べて、思わず唸るほど。玄関を走り出て、道行く人に「うまいっすよ~、これ~。」と声をかけまくりたい衝動をやっとのことで抑え込みました。
おいしくできたのはなぜでしょう?有機農法で土壌がうんぬん・・。とは申しません。ほったらかしなので、「愛情が決めて」なんて言ったら、何処からか石が飛んでくるからやめておきます。思い当たることといえば「イノシシの襲撃を受けて、難を逃れて、生き延びた奴らだから~(チコちゃん風)」です。

イノシシに泣かされながらも、彼らの行動を観察していると、結構いろんなことがわかってきます。
彼らの畑での(我々にとっての)悪行はイモ類の完食だけにとどまりません。出そろった芽や植えたばかりの苗をほじくり返す習性があるのだけれど、とりわけニンジンが好きなようで、葉が10cmくらいに育つのを待って必ず襲ってきます。例年、号泣です。それもニンジンを食べるわけではなく、ニンジンが育っている土に集まる虫が好きなのか、鼻でひとしきり掘り起こして去っていくのですね。彼らが去った後には、朝鮮人参を彷彿させるシナシナのオレンジの物体多数。どうせならきれいに食べて、ご馳走様の一言でも言ってくれれば・・。
というわけで、この数年、まともにニンジンが収穫できずにいたのですが、なんと今年はどうしたものか全滅は免れました。各所で島状に残った、恐怖に震えるニンジンたちに「怖かったねー、つらかったねー。」と声掛けしてあげました。そして待つこと1か月。
ニンジンたちの涙がその身を甘くし、恐怖に打ち勝った自信がうまみに代わっていく。そんな想像をめぐらしながらニンジンステッィクをぼりぼりと食べています。

 同じ地球上で、今まさに戦争に巻き込まれている人たち。コロナ禍で笑顔を失っている人たち。
 今の悲しみ苦しみの先に、こんなニンジン話のようなくだらない話で笑いあえる日が、どうか来ますように。
大好きな武者小路実篤の詩を思い出しました。
我人々と同じく/風雨にさらされ/人々と同じく/雪霜になやまさるれども/我は天与の食物をとりて/その内より甘露を集めて/わが実をつくりたるなり。(『柿の賦』の一部)
(2022-3-2)

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甘露を集めたニンジン


バックナンバーはこちらからお読みいただけます

にのみや どろんこLife2>

vol.22「哀愁のカネタタキ」

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vol.21「うりっす!」

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vol.20「干し野菜」

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vol.19「夜咄の茶事」

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私のような奴もいる

vol.18「蚊取り線香」

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(Photo by m.o)

vol.17「枯れる」

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vol.16「いわくつき野菜のすすめ」

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vol.15「勝手に生えてる野菜の生命力」

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vol.14「嵐の前の、春の日に」

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vol.13「風邪っぴき」

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vol.12「恩返し」

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vol.11「実験!自然農法」

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vol.10「三月のホタル」

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vol.9「休眠期」

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vol.8「ひっかかっているもの」

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vol.7「どろんこLifeの始まり」

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vol.6「イノシシ」

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vol.5「きゅうり」

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vol.4「わかりやすい顔」

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vol.3「畑に向かう理由」

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vol.2「“こぶし”とり」

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vol.1「再びペンをとる」

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vol.15「さくら暦」

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vol.14 「味噌の仕込み」

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vol.13「佐島のわかめ」

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番外編「パッションフルーツ その後」

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vol.12 「ウコンのほりあげ」

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vol.11 「パッションフルーツ」

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vol.10 「田園の食卓」

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vol.9 「野菜の癒し成分」

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vol.8 「三大輪切王の季節」

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vol.7「とうもろこし競争」

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vol.6 「パンダなひとたち」

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vol.5 「ジャガイモ収穫いとたのし」

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vol.4 「ピヨピヨ」

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vol.3 「玉ねぎの季節」

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vol.2 「畑人(はたけびと)、走る!」

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vol.1 「タケノコ!ごろりん」

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