vol.2 「畑人(はたけびと)、走る!」
vol.2 「畑人(はたけびと)、走る!」
お庭のすみっこを菜園化している人、町民ふれあい農園を借りている人、農家さんから空いている土地を借りて耕作している人。老若男女問わず、間違いなく5月は師走ならぬ、畑人走の月!私も含めて類似人種の多くは、声をかけるのもためらう程の殺気を全身に漂わせています。
(実際、苗やさんで真剣に苗選びしている私の背中が怖かった!と目撃者Aは証言。ここが、コンパクトなこの町の笑っちゃうところですね。“町民どうしの見守り活動”は、町のすみずみまで行き届いていて「どこそこで見かけたよ!」は挨拶の一種として使われています。)
近隣のホームセンターでは、反則とも言えるくらいの早出しで苗の販売を始め、浮き足立った我々の鼻先をくすぐります。先を越されてなるものかと、地域の苗やさん、花屋さん、スーパーの店先では、花苗は押しのけられ野菜苗が並び・・・。いったい、これだけの数の苗が、町内の土に根を下ろし、やがて生長して実をつけたら、八百屋さんは一時的に商売できなくなるんじゃないかと、本気で心配になります。
おそらくこの現象は、我々の町に限ったことではないとは思いますが、おそらく二宮町では、この畑人走を比較的容易に観察できます。町をほぼ南北に貫く県道沿いを車で流すだけで、そんな畑人が何人も視界に飛び込んできて、思わず、笑っちゃう毎日です。
(2016-4-30)
蔵門のこと
私の小学生の頃の夢は八百屋さんでした。周りの子たちが野球選手とかスチュワーデス(当時はこの呼び名!)に憧れていた時代に、もうこの頃から少し独自路線を走っていたのですね。それもただの八百屋さんではなくて、“自分が作った野菜を売る”という構想までほのかに抱いていて、冷静に考えると「夢をかなえているじゃん。」と少しエヘンとなります。
私は“やさいや蔵門”と勝手に名乗っています。“やさいや”とは名ばかりで、自分では食べきれない分を知り合いに配って、種苗肥料代の援助をいただく程度ですが、そのスケールが自分に丁度いい。野菜を作るのは楽しいから、ついつい沢山作ってしまい、その野菜を喜んでくれる人がいると、ますます作るのが楽しくなる。そのサイクルもまた丁度いい。
そんな丁度いい暮らし、まだまだ続きます。