結婚したら二宮に住もう!

vol.22「哀愁のカネタタキ」

vol.22「哀愁のカネタタキ」

 『♪バッター、バタバタ、バッターそーれ、ホームラン!いけいけバッター、ゴーゴーバッター!』
おそろいのユニフォームに身を包んだ少女たちが、一列に並んで仲間に声援を送ります。
 あ、すみません。ワタクシの中学生時代の話です。ソフトボールをやっておりました。
 ショートヘアで野球帽を被って歩いていると「ちょっと、そこの男子~。」と呼び止められることもしばしば。振り返ってしまう私もいけないのですが、思春期の少女の心はえらく傷ついておりました。そのせいもあるのでしょうね。中学をでてから、つい最近までのほとんどの年月、セミロングヘアを貫いて生きてまいりました。
 「いや~、私、さばさばした性格よ。」などと人には話しておりますが、実のところ「スーパーねちねち系」だったり、するんですね。長く、潜在的に引きずります。根に持つとも言います。ご注意ください。ちなみに最近も、植木屋のかっこでホームセンターのトイレに入ると、私を見た、先行者のオバサマが「え、あ、ここ女子トイレよね!?」という顔で動揺されておりました。
う~ん、やはり、花柄の作業着でも着てみましょうか?

 何度も何度も「ネタ切れですから、限界です。」と言っておきながら、心のどこかで叫んでいるのですね。「ううむ、この程度で、引き出しの数が尽きるとあっては、クラモンの名折れ。何としてでも、絞り出してやる~。」ささやかな執念です。
 で、なんだよ。中学生時代の話なんか持ち出して、昔話~?そう言うなかれ。まあまあ、もうちょっとお付き合いください。

 先日、TVで初代仮面ライダーが再放送しているのに、ばったり出くわしてしまいました。そう、今の若い人達がイメージする仮面ライダーをよく知らないのですが、初代は確かに、バッタがモチーフでした。作品にはバッタとかクモとか、昆虫がフツーに登場してたのね。あの昆虫と人間がごちゃまぜになった世界を何ら違和感なく受け止めていたことに、ある種の感動を覚えます。
 それくらい人と昆虫の距離が近かった。人間も自然の一部だった。そんな風に思えるのです。

 ねばりにねバッタ夏から一転、晩秋に崖から突き落とされた感のある今日この頃。
 カネタタキが泣き続けています。(あの音調が鳴くというよりも泣くの方がしっくりくるので、あえてそう書きます。)このバッタの仲間の小さな虫の音が昔から好きで、よく人に話すのですが、ご存じない方も多く、いつもちょっとがっかりします。カネタタキの「チっ」という舌打ちが聞こえるようです。
大変、人なつっこいのか、よく家の中に上がり込んで泣いているので、温かく見守っているのですが、あまりに小さい虫ですから、間違って踏まれてしまったのでしょう。ぺしゃんこになった姿で、ときどき発見されます。犯人は誰か?で家族でもめます。
 そんな哀愁のカネタタキのチ・チ・チ・チという声に、行く秋を惜しみながら、今日も無事に原稿を書きつなげることができました。ネタをくれたバッタに、愛をこめて。
(2021-10-19)

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名残のコスモス

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